こんにちは。
がん治療研究者の岸本です。
引き続き民間療法のお話です。
高濃度ビタミンC療法に並ぶ有名ながんの民間療法として、皆さんもご存じだと思いますが、糖質制限療法があります。
実は、この療法はメカニズムとしては理にかなっており、ノーベル賞学者(ワールブルグ博士)が発見した現象に基づいています。
そのメカニズムとは、まず、哺乳類細胞の大部分は、グルコースを燃料として使用します。
正常細胞では、グルコースは酸素の存在下で解糖系を経てTCA回路、電子伝達系に回り、エネルギー源であるATPを作り出します。
酸素が存在しない場合は、グルコースは解糖系からTCA回路、電子伝達系には行かず、ATPと乳酸を生成します。
これを嫌気的解糖系と呼び、激しい運動をすると筋肉痛になるのは、酸素が足りず嫌気的解糖系が進み乳酸が筋肉に蓄積するためです。
実は、がん細胞では、酸素の存在下でもグルコースからATPと乳酸の生成が起こります(ワールブルグ効果)。
そして、がん細胞のエネルギー源ATPの大部分が、このワールブルグ効果によって作られています。
従って、グルコース=糖質を制限すれば、がんはエネルギー源を失い死滅する、というメカニズムです。
また、糖質制限法にはケトン体摂取が付きものです。
グルコースを制限すると正常細胞にもダメージが起こるため、その代替としてケトン体を摂り、エネルギー源ATPを作り出すという理由です。
がん細胞は、ケトン体からATPを作り出す酵素のいくつかが消失している場合が多く、がん細胞には益にはなりません。
これだけ聞くと糖質制限は完璧ながん治療法だと思われませんか???
が、実はそうではありません。
(ここで、読者から質問①)
癌の人はお砂糖食べない方が良いとよく聞くので、糖質制限のお話とても気になります!
がん細胞の周りには、乳酸がたくさん蓄積されてる、という事ですかね?