Xデイ――自家移植に向けた前処置が始まった #21

Xデイ――自家移植に向けた前処置が始まった #21

11月21日。

11月21日。

この日から、いよいよ自家造血幹細胞移植に向けた本格的な治療が始まりました。

正確には、この日が移植そのものの日ではありません。

移植に向けた「前処置」が始まった日です。

私の中では、この11月21日がひとつの「Xデイ」でした。

ここまでに抗がん剤治療を4クール受けました。

1クール目から腫瘍は半分以上縮小し、その後も治療を重ねるごとに小さくなっていきました。

4クール目を終える頃にはかなり縮小していて、先生も移植に進むための十分な手応えを感じていたようでした。

そして、いよいよ次の段階に入ります。

「前処置」が始まる

自家造血幹細胞移植というと、

「自分の幹細胞を身体に戻す日」

だけを想像してしまいます。

でも実際には、その前に非常に重要な治療があります。

それが、

「前処置」

です。

これから自分の造血幹細胞を身体に戻すために、その前に強い治療を行う。

私にとっては、ここからが本当の自家移植治療のスタートでした。

先生からは事前に説明を受けていました。

でも、説明を聞くことと、実際に自分がその治療に入ることはまったく違います。

11月21日。

いよいよ始まる。

私は、

「ここから先は、もう進むしかない。」

そんな気持ちでした。

なぜ、そこまで強い治療をするのか

前処置では、強い抗がん剤などを使って、身体の中に残っているがん細胞をできる限り叩いていきます。

当然、正常な造血機能にも大きな影響が出ます。

白血球。

赤血球。

血小板。

血液を作る力そのものが大きく落ちていく。

その後に、あらかじめ採取して保存しておいた自分自身の造血幹細胞を身体に戻し、再び血液を作る力が立ち上がるのを待つ。

それが、私が受ける自家造血幹細胞移植でした。

私は以前から、

「病気になった自分の身体から採った幹細胞で、本当にまた血液を作れるのか。」

という不安を持っていました。

その気持ちは、前処置が始まった時にも残っていました。

ここまで来たら、先生と自分の身体を信じる

海外の幹細胞治療について調べたこともありました。

他の人の造血幹細胞を使う方法について考えたこともありました。

もしもの時には、弟や妹も、

「必要なら自分のものを使っていい。」

と言ってくれました。

その言葉には、本当に兄弟愛を感じました。

でも私は、

できれば家族には頼りたくない。

まずは自分の幹細胞で何とかしたい。

そう思っていました。

そして最終的には、

ここまで自分を診てくれた先生を信じよう。

そう決めました。

4クールの抗がん剤で、実際に腫瘍は縮小した。

先生にも手応えがあった。

ならば、次は移植に進む。

もう迷う段階ではありませんでした。

11月21日、いよいよ始まった

前処置が始まると、

「本当に移植を受けるんだ。」

という実感が一気に強くなりました。

それまでは「自家移植」という言葉を聞いても、どこか先の話だったのかもしれません。

でも11月21日からは違いました。

治療が始まった。

身体に薬が入っていく。

ここから血液の数値も下がっていく。

そしてその先に、幹細胞を身体へ戻す日が待っている。

もう後戻りはありません。

私は、

「やると決めたんだから、やる。」

そう腹をくくりました。

『はたらく細胞』で見た世界が、自分の身体で始まる

以前、映画の『はたらく細胞』を見たことで、造血幹細胞移植という治療を少し理解できた気がしました。

映像で見ると、

血液の中で何が起きるのか。

細胞がどう働くのか。

治療によって身体の中がどう変わっていくのか。

とても分かりやすかった。

でも今度は、それが映画ではありません。

自分自身の身体の中で始まる。

そう考えると、不思議な感覚でした。

怖さもある。

でも同時に、

「ここまで来たんだから、あとは乗り越えるしかない。」

という気持ちもありました。

11月21日。

自家造血幹細胞移植に向けた前処置が始まりました。

そして、この治療が進むにつれて、私の身体にも大きな変化が起きていきます。